安くて巧い逸品だ
★★★★★
最初に本書を書店で見付けたとき、今は亡き朝日ソノラマの『ファンタスティックコレクション』が復活したのかと思った。よくよく見たら版元は角川書店だったのだが、要するに『大魔神カノン』のブルーレイ発売を控えたパブリシティの一環らしい。
このボリュームなら、まぁお買い得だろう。しかも寄稿している顔触れが凄い。原口智生や樋口真嗣、切通理作辺りはお馴染みすぎて何ということもないが、筒井康隆に宮部みゆき、小野不由美、綾辻行人なんてビッグネームを並べられたら、流石に「Oh!!」と唸らざるを得ないね。やはりそこは、文芸大手の角川書店ならでは。
さて、大映特撮と云えば『大魔神』も勿論いいんだが、評者が最も好きだったのは『ガメラ対バルゴン』で、昭和ガメラシリーズで唯一子供が出てこないことで知られる。なので、本書の34頁に載っている「継承されなかった媚びないガメラ」という出渕裕の作品解説は我が意を得たりで、大変嬉しかった。但し、好みは人それぞれで、「子供の味方、ガメラ」が好きならそれも結構。とにかくスチールも記事も充実していて大変よく出来た本なので、ファンなら買って損はないぞ!!