エリートのキャリアウーマンであるリジーは、ひょんなことから知り合った高校教師のベンに熱烈アプローチを受け、付き合うことに。優しくて愉快なベンは、これまでのエリートの彼と違い、一緒にいて楽しく、彼女は結婚を意識する。ところがふたりの関係は春になりあやしくなってきた。なんと彼はメジャー・リーグ、ボストン・レッドソックスの熱狂的ファン。彼女とのデートより試合を優先させるようになってしまったのだ。
   現実的な女性と少年のように夢を追う男性の恋をコミカルな味付けで仕上げた最高にキュートな映画。この映画のチャームポイントは、ベンをただのクレイジーな野球ファンにしなかったこと。少年時代のベンとレッドソックスのエピソードに共感できるからこそ、野球と恋人の狭間で揺れる彼の心が切なく胸に響いてくるのだ。ふたりのシーソーのように浮き沈みする恋を描くとともに、野球ファンの心理も微妙についた脚本がうまい！ また笑わせながらも等身大の恋愛を胸踊らせる演出で見せたのは『メリーの首ったけ』のピーター＆ボビー・ファレリー兄弟監督。主演はドリュー・バリモアとコメディアンのジミー・ファロン。ふたりの可愛い存在感も、本作を成功に導いたといっても過言ではないでしょう。（斎藤 香）