豪華な女優陣を一度に観られる作品は、それだけでうれしくなってしまう。雑誌の記事がもとで、確執を起こす母娘のエレン・バースティンとサンドラ・ブロックは、それぞれ強気な一面を持つ部分がハマリ役。母の若い時代を演じるアシュレイ・ジャドは、古きよき時代の空気を漂わせる稀有（けう）な女優で、その持ち味か生かされている。そして、マギー・スミスらが演じる現代の母の親友たち。若い時代からのキャラクターが巧みに受け継がれ、その軽妙な演技で場をさらってしまうのは、さすがの一言だ。
   監督のカーリー・クーリーは、『テルマ＆ルイーズ』の脚本家。男たちの影が薄くなってしまうのは、当然と言えば当然だが、変に男女のロマンスの方向へ走らなかったのは正解だっただろう。テーマが散漫にならないから、娘を睡眠薬で眠らせての誘拐作戦、おばさん同士が大ゲンカをしながらのカーチェイスなど、ひとつひとつのエピソードに素直に笑えるのだ。男の視点から言わせてもらえば、年をとってからの女同士の友情は、ホント、うらやましい！と改めて認識できる次第。（斉藤博昭）