算数を学年毎および分野毎に把握するのに便利
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小学生の子供を持ったとき、1年生から6年生まで一通り概観し、進級するたびに、この次はどんな内容の算数を学ぶのだろうか知るのに本書は大変役立ちます。小学校の算数は、内容は簡単でも、教え方は非常にと言ってよいほど難しく、本書で教え方のポイントが分かります。また教え方以上に、先に何を教えて、次に何を教えるかという順序がとても大切で、それも同時に分かります。その意味で本書は座右の書となりえます。各学年での学習事項の他に、算数を整数・小数、分数、図形、文章題と分野別に4区分したのも、極めて洗練されており、さすが超ベテランぞろいの岸本先生グループならではの本です。
ただ、日本の算数教科書準拠という枠内で編集されていますので、もしその算数教科書に重大な問題がある場合、当然ながら、本書もそうした制限・限界・欠点を受け継ぐことになります。まだよく吟味していないのでわかりませんが、小学校前半までの算数教科書は教える順序や集団への指導という点で非常によくできていますが、分数・割り算の取り扱いには斬新さがなく、多数の執筆者や検定教科書という制限があります。理系の方でしたら、もっと自由に小4以降の算数を教えた方が親子共に楽しくなるはずです。たまたま日本が大国?だから、検定という制度があるに過ぎず、ある意味では算数の教科書こそ誰が書いても良いし、間違えたら、利用した本人が被害を被るだけです。いずれにせよ、本書が役立つのは、子供には各テーマ毎に教える順序があり、教え過ぎないということで、それらを知るのに本書は便利です。