ブルー・ハーブのBOSS THE MC(本作ではILL-BOSSTINO名義)とプロデューサーのWACHALLによるユニット、。ヒップホップにこだわったブルー・ハーブとは異なり、ここではダンス・ミュージックに焦点を絞っている。それも大胆にディジリドゥを取り入れたり、クラブ・ジャズ的なトラックにラップが絡んだり、カクテル・ピアノがメインのエレクトロニカ風があったりと、生楽器をふんだんに使い、凡百のフロア音楽とは一線を画すエクスペリメンタルな仕上がりだ。
BOSSは自らのフロア体験から本作の制作に至ったと言っているが、確かに本作には、一夜のパーティーをそのまま表したような流れがある。特に中盤以降、夜の最も深いところから朝日が降り注ぐところへとたどり着くような、ドラマティックな展開は圧巻。BOSSのダンス・ミュージック観を存分に示した作品といえる。(小山 守)