仏教の「歴史」入門
★★★★☆
本のタイトルは「仏教入門」ですが,仏教の教理とか基本思想などについては第一章で簡単に紹介してあるに留まります。教理・教説を知るためにはあまり役に立たないでしょう。なので仏教の教えに触れて心の癒しを得たい,等の目的の人は他の本をあたった方が良いと思います。
第二章以降は釈迦の活動,仏教の成立から中国を経て日本に伝来し,今日に至るまでの,要するに「歴史」について述べてあります。特に日本仏教についてページ数の半分以上を費やしており,日本仏教を巡る歴史上の主な人物や出来事についてなら,この本で概要を掴む事ができます。
おそらく,膨大な仏教の大系や宗派について本一冊で述べることは到底無理なので,この本で「あらすじ」を掴んでもらい,個々の宗派や教義,出来事などについては別の本を読んで欲しい,というのが著者の意図なのでしょう。参考文献や年表,索引が充実しているので,この本をとっかかりにして読書や調査を広げてゆくことが出来ると思います。
読みやすい
★★★★★
自分の生まれ育った所の国教をしらないなんて恥かなぁと思い購入。
大蔵出版から発行されている袴谷憲昭氏の「仏教入門」が非常に難しく
感じた私にとってこの著はちょうどよく、とても読みやすかった。
高校のとき学んだ世界史の南アジア史あたりの内容を思いだしつつ、
大体の仏教誕生から近世以降までの流れを大まかになぞれて
散らかった頭の中を整理するのに役立った。
細かい知識を肉付けする前のホントに簡単な骨組み的なものとして読むのにすごくいい。
仏教概要
★★★★★
日本人の殆んどは、意識の有無に関わらず仏教行事に関わっています。
仮に関わらなくても、’四苦八苦した’などの日常語となった仏教用語があるため、
もはや仏教の影響を避けるのは難しい、といえるのではないでしょうか。
そうは言っても、仏教とはどんな教えなのか、またその歴史は、について
詳細に把握している人は少数なのではないかと思います。
それゆえに、仏教ってどういうものなんだという初歩的かつ改まった問いに対し、
岩波ジュニア新書ということで内容は中高生向けということのようですが、
学生から年齢を重ねた大人までフォローできる内容となっていると思います。
基本をおさらいする本
★★★★★
このシリーズは中高校生向けの本ですが、たぶん本当は大人が
読んでるケースの方が多いのでは。。。もっと子供達が読む気に
なるよう、シリーズタイトルをひねってもらいたいです。
どの宗派にも偏ることなく、仏教の歴史とそれぞれの特徴を
描いてます。ある程度詳しい方には物足りないかもしれませんが、
こういうトピックは偏らずに説明する自体が難しいですから。。
ただ、日本の仏教の有名人を多々紹介しているためページ不足に
なってる感もあります。このボリュームですから、人の紹介より
エッセンスの紹介に割いた方が良かったかも。それとも名前だけ
でも知ってもらって、後で自分で勉強せよということか???
学問的な仏教入門の最良書
★★★★★
仏教の学問的な知見をえるための本という意味では、日本で出版されているもののなかで、これが最も手軽な書物です。もっとくだけた解説なら、ひろさちやさんの著作などがありますし、小説やマンガの方が、まったくの「入門」のためには有用ではあります。地道な研究成果を押さえた上で、初学者に向けて平易に書かれた一冊です。
著者が日本中世史の専門家ということもあって、記述は中世を主とした日本仏教にかたよっています。ただ、それは欠点というよりも、むしろ読み手の実感を大切にした結果の利点であります。特に、鎌倉仏教の祖師たちをできる限り簡潔に紹介した部分は、本書の最大の読みどころでしょう。