「あとがきにかえて」と年表もとばさないで読んで欲しい本
★★★★★
小学校高学年以上なら興味深く読めるであろう一冊です。1890年紀伊半島沖で遭難したトルコの使節船乗船者の日本人による救出と1985年イラン上空の戦争空域化直前のイラン在住日本人のトルコ航空機による救出という二つの救出について書かれています。後に遺族への義捐金を集めてトルコへ渡った山田寅次郎が請われて長期滞在し日本について教えた相手の中には後のケマル・アタチュルクトルコ共和国初代大統領がいて、後年大統領からの委託で墓地改修があったことも年表に載っています。海難事故発生後の地元の関係者の対応ぶり、3ヶ月以上遺体収容に努め現在も墓地の手入れと慰霊を続ける地元の人々の活動、トルコでのその後の動き、イ・イ戦争時諸外国から不思議に思われた日本政府の在外邦人救出への対応、現地駐在大使の尽力など、知っておいて欲しい事実を読みやすく記した良い児童書だと思います。