「グッドラック」が伝えようとしたことは、多分、今に始まったことでなく、太古の昔から言われてきたことのはずである。故に、同著のベストセラー化への疑問の声が一方にはある(書販マーケティングの勝利と言えば味気ないかもしれないが)。
然るに、これだけ人を動かした、主体的な態度を生み出した一冊というのはあまりあるものではない。偏に、経済的に満たされながらも自己を満たすことができない「艱難辛苦の時代」ゆえの様だろう。
置かれた状況に対して感情のままに反応的に対処するのではない。決定論的に状況を受け容れるのでない。ポシビリズムに立って、実存主義に立って、状況に対して態度を決める自由が備わっていることを今更に改めて伝えてくる。
「ありたい自分」に向けて。