アウト・オブ・ジ・アフターヌーン
価格: ¥1,800
これはいいアルバムだ。ロイ・ヘインズのフレキシブル、かつしなやかなドラミングを存分に味わえるだけでなく、ローランド・カークの超個性的なプレイも聴けるのだから、もう言うことなしだ。
人気曲はやはり冒頭の<1>。スウィング時代に演奏されたアーティ・ショウ楽団の人気曲だが、ここでは一種異様なムードから演奏がスタート。テナーとマンゼロの2本を一度に口にくわえたカークが、熱いソロを聴かせる。<2>はおなじみの曲だが、カークがテーマを吹いた途端にまったく新しい世界に連れ込まれて快感を覚える。また、ロイとカークの個人技が目立つ作品だが、アルコ・ソロが強力なヘンリー・グライムズと、トミー・フラナガンの2人も負けていない。
一言でいって、痛快なジャズだ。かつてジャズ喫茶でリクエストの絶えなかった人気盤だが、確かにこれは何度聴いても興奮させられる。新リマスタリングによって、音質がさらに向上。ロイのドラミングがより鮮烈になったのもうれしい。(市川正二)