大人の視点で大人が読むにはいいのですが、物事の良し悪しの基本を勉強中の幼児には、ちょっと早い内容です。失敗が発覚しそうになって恐怖に震えたなら、そこで勇気を持って謝るというのが幼児には理解しやすいストーリーなのでしょうが、この本のねらいはそういったことにあるのではないので、違うところに結末が結ばれます。
いつもよい子でばかりいたわけではない普通の子供時代の自分を生々しく振り返るような絵本です。シリーズの他の本も子供の心の衝動のようなものが描かれています。
大人は子供の心のありようを忘れてしまいがちですが、大人でありながら子供をこんな風に鮮烈に書けるのがアン・グットマンさんならではなのでしょう。
今現在リサとガスパールと同じ年代にあり、自分と重ねて読める小学生から、子供時代を思い出す大人向けの絵本です。
幼稚園児には「ペネロペ」がお奨めです。
「リサと~」シリーズでは、「リサかぜをひく」は、善悪が関係ない話で風邪をひくと両親にやさしくしてもらえるうれしさが書かれているので、うちの子はもっぱらこちらをよろこんで読んでいます。