A Christmas Gift of Love
価格: ¥636
本作の「Santa Claus Is Coming to Town」を耳にすると、なんとも新鮮な気分にさせられる。というのも、このマニロウのヴァージョンは、フィル・スペクターが『A Christmas Gift for You』でプロデュースして以来40年、耳に慣れ親しんできたロック的なアレンジではないからだ。マニロウのアレンジは、1945年にビング・クロスビーがアンドリュー・シスターズと共演したヴァージョンにインスパイアされている。これでこのクリスマス・アルバムの基本的なコンセプトがおおよそお分かりだろう。ビッグバンドによるオーケストレーション(とボーカル)をたっぷり聴かせようというのだ。そして、そのアレンジにうってつけと言えば、何をおいてもブロードウェイ・ナンバーだろう。こうしてマニロウは、ロジャーズ&ハマースタイン、サミー・カーン&ジュール・スタイン、アーヴィング・ベルリン、フランク・レッサーらの手によるクリスマス・ナンバーを取りあげている。また、そうしたクリスマスらしい幸福感あふれるナンバーが続くなかで、リスナーはおやっと思うかもしれないが、マニロウはジョニ・ミッチェルが寂しいクリスマスを歌った「River」の素敵なカヴァーも本作に加えている(とは言っても、そもそも彼はイアン・ハンターの「Ships」のカヴァーを大ヒットさせた男なのだ)。けれども、それさえのぞけば本作の収録曲は、自ら作曲したタイトル曲を始めすべてクリスマスにふさわしい心暖まるナンバーである。マニロウの長年のファンなら本作は愛聴盤となるだろう。(Bill Holdship, Amazon.com)