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にんじん (ポプラポケット文庫 (409-1))

価格: ¥616
カテゴリ: 単行本
ブランド: ポプラ社
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にんじんはメロンが嫌いだったね ★★★★★
 今朝(2008.11.23)FM東京で作家の小川洋子さんが『にんじん』を取り上げていたのでなつかしくなって、一筆書いてみた。我が家では「にんじんはメロンが嫌いだったね」というフレーズが良く使われた。自分の嗜好の好き嫌いを相手から決めつけられたとき、「場を和ます」お返しのフレーズとして…。

 冒頭にある、にんじんはメロンが嫌いだったねの話と中盤にある「行きと帰り」(aller et reteur)の話が印象的である。寄宿舎から週末に帰って行くとき、そして戻りのときのにんじんと母・ルピック夫人との「噛み合わなさ」。そりが合わない母と子を端的に示した傑作だと思う。
ルアナルって言っちゃうよね。 ★★★★☆
 「にんじん」少年に対する母親の理不尽な仕打ちとそれを当然のこととして日々を送るルビック家。常識的に考えて異常としか思えないのですが、淡々としてウィットに富んでいる文章のせいか、特に涙もなく読み終えました。
 あとがきにも書いてあったのですが、もしもことさら「にんじん」少年の可哀相さを煽るような文章だったとしたらまた印象は変わっていたことでしょう。
 「にんじん」少年が家族から疎外されるのは、その大学教授的なひねくれた性格にあると思うのですが、ひねくれ方にもいろいろあって、彼が良い方向にひねくれるのか、悪い方向にひねくれるのか、それとも自分のそういうところを捨てて周囲に同化するのか。僕は彼がこのまま味のあるひねくれ方をして大人になって欲しいと思いました。

 最後の方で、母親の仕打ちにとうとう耐えかねた「にんじん」少年が母親の言いつけを初めて拒みます。そこで「にんじん」少年と父親が話し合うことになるのですが、そこでの「にんじん」少年と父親とのやりとりがなかなか印象的でした。そこでは、自分がいかに不幸であるかを切実に訴え、家族から逃げ出して幸福になるんだという「にんじん」少年に対して、父親が次のようなことを言います。

 あきらめろ。鎧兜で身を固めろ。それも、年なら二十になるまでだ。自分で自分のことができるようになれば、お前は自由になれるんだ。性質や気分は変わらんでも、家は変えられる。
 われわれ親兄弟と縁を切ることもできるんだ。それまでは、上から下を見下ろす気でいろ。神経を殺せ。そして、他のものを観察しろ。お前の一番近くにいる者たちも同様にだ。こいつは面白いぞ。わしは保証しとく、お前の気休めになるような、意外千万なことが目につくから。

 単にかわいそうな少年の物語に止まらない、なかなか深い読み物だなと思ったのでした。
不思議な・・・ ★★★☆☆
 髪の色から「にんじん」とあだ名をつけられた少年のお話.母親は彼を嫌い冷たく接すし他の家族はそれをただ眺めている.それでいて少年はいい子なのかといえばそんなことはなく,とんでもない事をしでかしてばかりいる.話から寓意を読み取ることはできず,これといった落ちもない.不思議な話だった.
人間って何? ★★★★☆
少し奇妙にも思える人間関係を通して、改めて人間ってなんだろうと考えさせてくれる作品。
人間のささいな癖や、ちょっとした見栄のやりとりなど、人物描写が光る作品です。そういった、実に細かな所まで目を配っているところが、作者ルナールの心理的で医学的な部分。
ずるさなど、人の醜い部分をおおらかに書き、そこにはどんでん返しなど用意されていない、現実観は非情にさえ感じるが、そんな世界で大人になろうとしている、にんじんの姿と、奇妙な親子関係は時々温かい。
人間という生命は、いつどのように救われるのだろう。
そういったことを、じっと深い海の底で考えるような、そんな作品だと私は感じた。
本当の子供の姿 ★★★★★
赤毛でそばかすだらけであることから、周りから"にんじん"と呼ばれる少年。父親のルピック氏、母親のルピック夫人、姉のエルネスチーヌ、兄のフェリックスと一緒に住むにんじんを描いた短編集です。

このにんじんがとにかく酷い扱いを受けていて、母親からは何かある度に罵倒の言葉を浴びせられ、兄や姉はそれを横目で見ているだけ。そんなにんじんがいたいけで純粋な子供かというと、これがまた大間違い。不潔で嘘つきで、猫やモグラを殺すほど残酷、教師や年老いた女中を卑劣な方法で追い出してしまう、とても読者にとって愛すべき主人公ではありません。

でも、にんじんは何とか母親に構ってほしくて、冷淡に扱われながらも何とか母親の気を引こうとします。大好きなパパからキスを拒絶され、ガーンとショックを受けたりします。舎監に可愛がられている級友に猛烈に嫉妬したりします。ガールフレンドのマチルダと結婚式ごっこをしたり、女中と日課の仕事についてきちんと話し合ったり、本当は寂しがりやでたくましい少年なのです。残酷や嘘つきなところも、ある意味では本来の子供の姿が正直に描かれていると思います。