かけがえのない日々の物語
★★★★★
昨年出版された「Fragile-こわれもの」と同じような趣旨で企画された5氏による短編集。責任編集者と書かれている令丈 ヒロ子氏のみが前回と同じ方。
後藤 みわこ「 バラの街の転校生」、令丈 ヒロ子「 めっちゃ、ピカピカの、人たち」、ひこ・田中「 roleplay days」、寮 美千子「 蛍万華鏡 」、香月 日輪「 光る海 」の五作品です。
第1話は題名の通りで、岐阜から大阪に転校してきた中二の女生徒のお話。同級生に振り回されている内に、いつしかクラスに馴染んでいるという様な内容。
第2話は「Fragile-こわれもの」でも登場した漫才少女のお話の続編。明るくほのぼのとした人間関係がパワフルに描かれています。大阪弁が強烈です!(笑)
第3話は、学校で居場所がない?男子中学生(5人組)が過ごすある一日のお話。不思議な感触のお話なのだけれど、ひょっとしたらこれこそ今時の「リアル」な のか?と考えてしまう内容。
そして第4話の「蛍万華鏡」。古都「奈良」の町を背景に、中三の男の子と「花が咲いたみたいに、そこから光がこぼれだすよう に、笑った」少女との、美しくも切ない恋のお話。これは素晴らしい!!何度も読み返したくなる絶品です!
最後の第5話「光る海」も素晴らしい!小四のころ理由も分からず消えてしまった男の子と15歳になって偶然再会した主人公。思いの丈を語ることで友情を取り戻すが、友の過酷な運命を知って涙に暮れる。「俺のこと、忘れんといて」「忘れるか、アホ!」。笑いながら泣く二人の姿が印象に残ります。
全五作それぞれに味わい深く、「きらめきの時を懸命に生きよう!」と言うようなメッセージを感じます。