戦時中で物資の少ない時代に、村人たちは神戸から疎開してきた児童のために米の飯を食べさせてやろうと苦心したり、親と離れた心細さをまぎらわせてやろうとあれこれ心を砕く。じろはったんもまた、隣村の連中にいじめられた児童の仇討ちに行ったりと、彼なりに子どもたちをかわいがる。
戦死した友、新やんの帰りを待ちわび、一生懸命字の練習をして手紙を書くじろはったん。著者は天国の新やんに手紙を届ける方法を思いつく…。純朴で心優しい彼と彼を取り巻くまわりの人々の温かさがなんともいえず心を打つ。