娘の教科書朗読を聞きながら・・・
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娘が本を読む声を聞きながらタイプをしていると
耳が自然とその内容に引き込まれていく。
『それから十年の年月が過ぎました。
お父さんの顔を思えていません。
自分のお父さんがいたことも知らないのかもしれません。
でも今、ゆみこのトントン葺きの小さな家は
コスモスの花でいっぱいに囲まれています。
そこからミシンの音がきこえてきます・・・』
どうやら戦争中の家族の話のようだ。
ゆみこは「ひとつだけ頂戴。」と言って食べ物をねだる。
それは「ひとつだけね。」との母親の口癖のせいだ。
そして、その家族の父親が戦争へ行く日が来た。別れの駅で、ゆみこは母の背中で空腹に泣き出した。
父は、駅の片隅に咲く一輪のコスモスを見つけてゆみこへ差し出した。ゆみこは、お父さんに花をもらうと、きゃっ、きゃっと、足をばたつかせて喜び、父はそれを見て、にっこり笑って、何も言わずに汽車にのって行く。
私も知らない戦争の一シーン。現実にあったであろう出来事。無数のあった別れの一つ。
私の娘はここから何を感じるのでしょう?そして教師は何を子供たちへ伝えようとするのでしょう?