もうすぐ節分
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いわさきちひろさんの優しい絵とあまんきみこさんのストーリーも優しい雰囲気に包まれています。
おにたという黒鬼の子どもが節分の夜にお母さんの病気の看病をしている女の子の家に入り込みます。おにたは角が隠れるような古い麦わら帽子をかぶっています。
おにたはこの女の子の為に何かしたいと思いました。
麦わら帽子から出てきたまだ温かい黒い豆がとても印象的です。
節分だけれど.....
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子供の頃この本を読んでから、私は豆まきをしなくなりました。この『おにたのぼうし』や『ないた赤おに』のオニが、私のオニのイメージで、山の奥の奥に棲んでいるひと(または精霊・妖精)と捉えていたのです。
あまんきみこさんのお話と、いわさきちひろさんの絵があいまって、なんとも切ない気持ちになりました。
今回は7歳になる娘に読ませたいと思って買いました。
「おににだっていろいろあるのにな。にんげんもいろいろいるみたいに。」
子供はどう読むでしょうか?
性悪的存在の鬼
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良い教訓が含まれ、岩崎ちひろ氏の絵も想像力を描きたてるようで、本書は素晴らしい価値を持っていると思います。子どもが読む価値は十分にある。
桃太郎や他の童話でも、鬼は常に「悪」として扱われてきました。歴史上、同じようなことが人間に対して行われていた事例を考えると、人は自分より弱い―様々な意味で―ものを創造することによって自分のパーソナリティーを安定させていることがよくわかりますが、そんなことをわかりやすくも切なく描く本書は良書と呼ぶにふさわしい。
子どもだけでなく、大人が読んでも色々考えさせられる一冊です。
鬼にまつわる話
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地元に住む庶民信仰の鬼、そんな鬼の姿が描かれているのではないかと思います。時に神格化されるが普段は悪の手先のように扱われている鬼。しかし、ここで描かれている鬼は違います、おにたはまさに神出鬼没の愉快で正義感あふれる少年の姿です。
この本は差別の現実を子供に教えるための本ではありません。全国各地で衰退していく鬼の姿をもう一度よみがえらせたいと考えたあまんさんの新しい鬼像の提言でしょう。もちろんおにたについては不遇であるとか、かわいそうとかの意見もあるでしょう。でもちょっと違っていて、本質は優しい鬼なんだけれども「縁の下の力持ち」なのでその働きを誰も認めてくれないというものです。そうそう、私の勝手な思いこみですが岩崎ちひろさんの絵本ではこの本の絵が一番好きです。
これは"差別"をテーマにした厳しい物語です。
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子どもが読みながら涙ぐんでいました。
こんなに短いお話だけれども、大人も子どもも避けては通れない厳しいテーマを含んだ、考えさせられる深い物語です。
この作品が教科書に載っていることに、少し希望を感じますが、きちんとした授業がなされているのか、ちょっと心配ではあります。