偉業とはいってもそれは成功者としての輝かしい物語ではありません。
1914年、シャクルトン率いる探検隊を乗せたエンデュアランス号は南極大陸横断を目指し極地へ向う途中、氷の海に閉じ込められ遭難してしまいます。
絶望的な状況の中で、ユーモア(さすがイギリス人たち!)と不屈の精神で困難を乗り越え、シャクルトンはメンバーを誰一人として欠かすことなくイギリスに連れ戻すことに成功するのです。
華やかな成功や悲劇の冒険談ではなく、リーダーとしてかくあるべし!という点が今でもイギリス人魂を揺さぶるようです。
大英帝国の威信をかけた南極大陸横断という当初の目的は何一つ遂げられなかったのに、これってすごいことだなあと思わず思ってしまいましたが・・。
冒険ものが好きな方も、イギリスを違った角度から見てみたい方にもお勧めです。
人間は、楽観的でないといけないと良く言われますが、 生きる活力・苦難の時の対応策などは、悲観論者からは生まれない事がこの本からも良く分かりました。 ただし、最後の幕切れが、戦死であったり、心臓発作であったりするのが、唯一残念。 生きる希望を与えてくれる絶好の一冊です。