かゆいところに手が届く研究室必携の書
★★★★★
物理学の辞書というと、キーワードに曖昧な注釈をつけただけのものが
殆どで、「役に立たないものの」の印象があるが、この本は違う。
例えば走査型電子顕微鏡の説明を普通の辞書で調べようとすると、
一生懸命二次電子の説明をしていて、結局、どうやって二次電子を
検出してどうやって画像化するのかが全くみえなくなっていたりする。
その二次電子の説明だっていい加減なもんで「何とか準位の電子が励起され」みたいな、
専門用語の羅列に見えて実は結構曖昧に説明しかしていない。
特に、非物理系の研究者が、何か物理学的な原理を用いた計測装置を買おう、どっかから借りよう
とするときに、このような説明しか書いてない本は、何の役にも立たない。まず、装置構成を
大まかに把握しなければ、なにもはじまらない。僕の場合は、しょうがないから
古い特許文献を探して装置構成を把握してなんてやってましたが…。
この本のおかげで、手間が大幅に省けます。
それに、置いておいて損はないだけではなく、読んでいて楽しいし、勉強になる。
実は、私、つい最近まで
・収差という概念が、幾何光学でも出てくること(初等幾何的な考察だけで出てくる概念であること)
・軸対称なコイルに軸にそって電子を入射させれば磁場レンズになること
を知りませんでした。このレベルから、電子顕微鏡を使って「みてみるか」というところまで
真面目に勉強してたら、何年かかったやら。