まず、リスニングで合格、という副題については、疑問が残ります。七回分の演習のうち、CDに問題文が録音されているのは三回分だけ。解答と解説が充実しているので、それを見て自習せよ、ということなのかもしれませんが、特にリスニングのセクションの点でリーディングの力不足を補い、全体の得点率をあげ合格を勝ち取ろう、或いは不得意なリスニングに重点を置いて勉強しよう、という、副題が暗示する方向性とはことなるように思います。
通常の英検対策問題集としては、かなり難しいと思います。単語にしても例えば大学生でも混乱しがちなlend(貸す)なども出てきますし、付加疑問文なども多く扱われています。このように受検者の多くが引っかかりそうな、難しい問題を網羅し(よく研究していると感心します)ていますので、中2レベルを一通り勉強し終わった人が、あと数点アップを目指すのには、とてもいい教材だと思います。ただし、中学2年生で習う項目が身についていない人が、初めてこの問題集に取り組むと、あまりに難しくて気落ちしてしまうかもしれません。まず王道を行くような平易で単純な問題を集めた問題集で確実に正解できるようにしてから、難問集としてこの問題集で完璧をねらうのがよいとおもいます。
前書きには「直前対策に最適」、「合格ラインは、正答率60~65%といわれていますが、本書では70%以上をめざしてください」とあります。しかし、以上のような理由から、「直前対策」に使うのなら、過去問で安定して合格ラインに達している人が使うべきであり、また、この本で正答率が70%を下回ってもがっかりしないように、(特に学習者が子どもの場合)精神的に支えてあげることが重要だと考えます。
追記:編集上のレイアウトは、大変見にくいです。またマークシートの用紙も切り取りにくく、破かないよう注意がいります。解説は充実しています。