現役アーティストの中でいちばんの多作家として鳴らしたコステロ。20トラック収録の本作は、そんな彼が2年半のうちに発表した一連のアルバムの4枚目にあたる。ここでのコステロは、言うべきことを言うと、あとは黙る――3分前後に達する曲はごくわずかしかない。また、しばしばスタックス／ヴォルト・レーベルに触発されたパンチのあるスタイルを見せている（影響の受け方がそれほどストレートでない曲もあり、サム＆デイヴのバラード「I Can't Stand Up for Falling Down」のコステロ・ヴァージョンは、速いテンポで演奏されている）。コステロお得意の言葉遊びがさえるが、その裏には疲れきった胸の内が透けて見える。「Human Touch」で歌われているとおり、“化粧が隠しているものはキスの味なんかしない”（What the makeup hides can't be made up with a kiss）。（Rickey Wright, Amazon.co.uk）