普通の辞書としては、語彙が少なすぎるきらいはあるが、アフリカン・アメリカンのスラング辞典としては、解りやすいものであると思う。何より一つ一つのスラングの語源が詳しく、丁寧に訪ねられているのが嬉しい。この辞書によって、かなり正確にアフリカン・アメリカンの文化を知るてがかりになる。そういった意味では非常に明確な意思によってこの辞典が編纂されたことが理解できる。
何よりも、この種の本は情報の新しさ、正確さが求められるが、こういった問題に対してもしっかりと答えられている本だと言って良い。
又、付録の「関連文献」は、アフリカン・アメリカンの文化を知りたい人間にとっては、大いに手助けになる文献が多い。アメリカの原書だけでなく日本での翻訳書、或は他の日本人が書いた文献等、非常に幅広く紹介されており、ブラックカルチャーをより深く知りたい人にとっても大いに参考になることは間違いないと言えよう。