和英辞典を補完する必携本
★★★★☆
一般の和英辞典で調べながら作文していると,きっとその分野では決まった語彙が使われているはずだけれど,どうも一般的すぎる語彙が例文に使われているなと思うことがあります。しかも,観点を変えながら調べなおすと,同じ日本語に対する訳語でもいくつもでてきてしまう。縦断的に,特定の分野ではどのような語彙が使われるべきなのか,あるいは使われているのかを知る必要があるのに,一般の和英辞典では調べられないということです。そこで私が使うのは,たとえば,Word Menuや概念別のシソーラスになるわけですが,日本人向けにくられていないこと,日本の社会生活にあわせてないことなどから,確認のため別の辞書をさらに調べなおすことになってしまいます。それらをこの表現辞典はある程度解決してくれました。ジャンル毎に調べることも,日本語から調べることもできます。さらに,親切な説明がついていて,納得させてくれます。例えば,会社勤めでない私には,会社の役職名などピント来ないことがあるのですが,上から下まで,さまざまな役職を体系的にどう表現するのか,また,海外の会社と日本の会社では名称がどうことなるのかなど明確になります。これは一般の和英辞典ではできないことです。これで足りるものではありませんが,和英辞典を補完する必携本としてお勧めです。
ジャンル別の日英対照現代用語集としては貴重。せっかくの解説が正確さに欠ける点が非常に残念
★★★★☆
ジャンル別の日英対照現代用語集として得がたい辞典であり,貴重な存在。版を重ねているのも,その点を評価されているのであろう。
残念ながら,少なくとも一部の分野に関しては,許容範囲外の間違いが存在し,内容に関して自ら検証せずにそのまま利用するには問題があると考える。
一つだけ例を挙げれば,p.352に 「子会社」に関して「厳密にいえば,子会社とは親会社の持株が全株式の過半数を超える会社だが,多額のローン供与,定期的取引保証などで実質的に支配しているものが含まれることがある。」との記載ががるが,まず,日本語として,「過半数を超える」との表現が不適切であるし,子会社の定義もまったく「厳密」ではない。
同時通訳者は本書のような「現代用語」の勉強を欠かさないそうです
★★★★☆
ふだん新聞に出てきそうな現代用語は「英語に訳すとしたらどうなるんだろう?」と思うことが少なくないですが、そういう時本書の登場です。同時通訳者は仕事前に会話内容を想定し、本書のような書物で該当分野を予めチェックして出てきそうな言葉を覚えておくのだそうです。(ジャンル分けされているから予習に便利です。単語を調べるだけなら「英辞郎」でOKですが、上記のような予習用途には向きません)
前版(1998年)から9年経ったこともあり、語彙数をパワーアップしてこの第4版の登場となりました。この改訂により、インターネット関係など新語がドンドン現れる分野がかなり改善されました。社会風俗関係で「チョイ悪オヤジ」「エロかっこいい」まで載っているのには驚きました(笑)。言葉の英訳だけでなく、必要に応じてミニ解説が付いているので、英訳付き事典みたいに読めるところが良いですね。(日本発の)英字新聞を読んだり英語ニュースを見聞きしたりする時、またそのような時事内容を英語になおす際に、本書のような知識があると大変助かりますね。
ただ、科学としての大きなジャンル分けがなく(但し、エネルギー、環境、宇宙という個別分野はあり)、科学関係の語彙数もやや不満が残るところです。そういう意味で★4つとしておきます。(化学/物理関係の英文レポートを書く際には「科学・技術英語例解辞典」(岩田・米澤)が便利な辞典でして、これをザッと読み通しておくとかなり自信がつきます)