エスペラントを作った人物の考えたことが日本語で読める
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本書は、1859年にロシアに生まれ、1887年に人工国際共通語エスペラントを発表し、以後1917年に亡くなるまで、生業の眼科医をつづけながらエスペラントの普及運動に尽力したザメンホフの論文や世界エスペラント大会における演説などを邦訳したものです。
ここに収められた論文や演説は、すべて元々はエスペラントで書かれたものです。
ですから、エスペラントの知識の無い人は、この本を読むことによって、エスペラントの表現力がどの程度のものなのかが判ることと思います。
ザメンホフが住んでいた街では、ロシア人・ポーランド人・ドイツ人・ユダヤ人などが生活していた(これ以外にも少数民族が多数いた)のですが、たがいに言葉が通じなかったり、生活の習慣が違っていたりしたために、民族間の争いが絶えませんでした。
しかも、ザメンホフはユダヤ人だったのですが、このユダヤ人に差別のしわよせが来ることが多かったのです。
そのような争いや差別を無くしたいと思って、ザメンホフはエスペラントを作って発表したわけですが、そういう人物がどんなことを考えたのかということに興味のある方には、きわめて便利な著作です。
ただし、この本を読む前に、ザメンホフの伝記を読んでおく必要はあると思います。