ワン・ベッドルーム
価格: ¥2,393
サイドプロジェクトが忙しいために、この評判の高いシカゴ出身の「ポストロックのスーパーグループ」(シュリンプ・ボートやカクテルズやトータスの元メンバーによって結成された)は、ときどきバンドの活動をすっかり忘れてしまうようだ。本作は1997年以来のアルバムでようやく3作目となる。けれども間違いなく、バンド外での精力的な活動がシー・アンド・ケイクをインスパイアし、力強くときには気品さえ感じられる本作をレコーディングさせたのだ。ブラジリアン・ジャズやドイツ・ロックの芸術的なテイストなどの影響を魅力的に混ぜ合わせ、シンガーソングライターのサム・プレコップによるマイケル・フランクスほど希少ではないウィスパーボイスに乗って、全10曲の見事なナンバーは抑制され微妙に洗練されメロディーがはじけている。プレコップの飛びきりクールなボーカルは、たとえ夢見るような「Left Side Clouded」のジャジーでエレクトロニックなサウンドをバックにしても、緊迫したリズムの「Hotel Tell」でも、すがすがしく意欲的な「Shoulder Length」でも、音数を抑えた美しいタイトル曲でもバンドの核となっている。本作はけだるいジャズ・ポップをあえて解体し、メンバーのルーツであるアートロックから引き出したいつくもの音楽層を鮮やかに響かせながら、未来に向かって滑らかに突き進んでいる。(Jerry McCulley, Amazon.com)