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CDブック 声に出して読みたい方言 -「方言の湯」に浸かろう

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 草思社
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方言=アイデンティティ ★★★★★
「人間失格」を広島弁で読むと…
「坊ちゃん」を鹿児島弁で読むと…
沖縄弁で「金色夜叉」を読むと…
名作を方言で読む。

読み手は生粋のネイティブだから
言葉のリズムが生き生きと心地よく
まるでひとつの音楽のよう。

標準語で読むのとはまた違った
あったかさと人間味が加わって
名作が新たな世界を見せてくれます。

方言なんか田舎っぽいと馬鹿にしていた生徒。
これを聴いて
「方言って、芸術だね」。

自分の言葉に誇りをもつ。
自分の故郷に誇りをもつ。
それは、アイデンティティにつながる。
残念無念 ★★★☆☆
意図はすばらしい。方言の衰退のすさまじさはわが身をもって体験しているので、このような企画は大変楽しいし、
NHKでの朗読なども好きで良く拝見する。
しかし、このCDに掲載されている「鹿児島弁」はいただけない。
たしかに言葉はあっているが、棒読みに聞こえてしまう。朗読者のプロフィールを読んで納得した。
鹿児島弁は6年で話せるようになるほど単純じゃない。幼少時を鹿児島で過ごされていないので仕方ないとして、
果たして他に朗読者候補はいなかったのか?
著者も解説で複雑さについて書いているので、その辺は重々承知のはず。1つに不満があると、他の方言も「甘い」
のではないか?と疑ってしまう。残念である。
もう一歩 ★★★★☆
企画は素晴らしい!特に地方出身者で東京で暮らすものにとっては、普段聞くことの出来ない「自分の言葉」をCDで聞けるのは嬉しいことだ。
方言の衰退が叫ばれている昨今、このような本に出会うことで方言への意識を高めてもらうことも必要であろう。

しかし方言とは名作の中で「読まれる」ものではなく、生活の中で「話される」ものである。この企画は文学の名作によって全国の方言をつなげているが、それは人々が生活の中で用いている言葉ではなかった。そこにこの企画の限界があったように思う。次はぜひ、生活の言葉で「会話集」みたいなものを出していただけないだろうか?

ちなみに私は鹿児島の出身であるが、CDで朗読している和田周さんは鹿児島で中学高校時代を過ごされた方であるが、鹿児島の出身ではない。なので私にはどこか違和感の残る鹿児島弁の朗読であった。次回はぜひ、全ての方言にそこの出身者を起用していただきたい。

聞けば元気が出る ★★★★★
 地方へ出張する楽しみは、その土地の地酒を飲むことと、その土地の言葉を聞くことである。酒の方は伝統を守る酒蔵の一方で生まれ変わった酒蔵もあり喜ばしいことだが、言葉の方は必死に聞き耳を立てないと拾えないことがある。とくに若い世代ではそうだ。私は名古屋弁のネイティブだが、親の代の半分くらいしか話さない。親の代はといえば祖母の代のやはり半分であろうか。「いま、深刻な事態が日本語において進行している。方言の急速な衰退だ。」と筆者がいうとおりである。

 斉藤さんは言う。「私の考える美しい言葉の基準は、その言葉に『身体感覚』がどれだけ染み込んでいるかということだ。」と。方言にはその土地の風土が色濃く染み込んでいる。風土とそれを感じる身体感覚が作ってきたのが方言という文化遺産である。言葉が伝えられることで、身体感覚も伝えられる。

 しかし斉藤さんが提唱するのは、もっと先を行っていて、標準語の身体モードから方言の身体モードにモードチェンジせよということだ。その状態で各地の方言に浸ることで方言の効能が現れるというのだ。あたかも温泉のように。

 CDを聞くのに努力はいらない。また聞きたくなる、そんな魅力を持った言葉があふれている。訳者も朗読も一流をそろえている。時々聞いて、言葉のエネルギーを吸収したい。

方言の再評価への動きに期待。 ★★★★★
著者は、大阪寝屋川市の小学校二年生の国語の授業を視察し、斎藤隆介氏の秋田弁による作品『八郎』の前文をクラス全員がほぼ完全に暗誦し、関西人である子供たちが秋田弁をマスターしていた事実に遭遇して本書の企画を思い立ったという。著者は、自分の生まれた土地の方言のみならず、ほかの土地の方言もマスターすることをも提唱している。

しかし、著者も「名作『雪国』を名古屋弁で、『人間失格』を広島弁でやる。これだけでもう、ノーベル文学賞をなめているのか、という叱りの声が聞こえてきそうだ。」と述べているように、名作を方言でやるという企画はパロディに過ぎないと考えられがちである。ところが、本書に付属したCDで聞いてみると、その美しさは驚くほどで、方言は日本語の貴重な財産であることを思い知らされる。

実際、伊藤秀志氏による『大きな古時計(ZuZuバージョン)』や、「亜麻色の髪の乙女」、「サボテンの花」、さだまさしの「案山子」などの名曲を秋田弁で歌った『御訛り』は、発売当初はパロディだと受け止められていたが、伊藤氏の歌唱力や秋田弁訳のセンスの良さとも相俟って、その意外な美しさ、秋田弁と旋律の調和のよさに対する評価は高まっていったという例がある。

このように、日本語が世界に誇る奥深い魅力は方言にあるというのも一つの考えとして再評価されつつある。著者はニュースや天気予報を方言でやってはどうか、とも提唱しており、方言復活にかける著者の熱意は並々ならぬものがあるようだ。今後の展開に注目したい。