日本人は本当に英文契約書の読み方が苦手だと著者は嘆く。しかし不得意だからといって、そのままにはしておけない。ではどうするか。英文契約書をどう読みとるかというガイドラインをまず著者は示してくれる。そのうえで取引交渉の場で直面する具体的な問題点を指摘する。ここが実務担当者には特に役に立つところだ。たとえばよく解釈に迷う「Letter of Intent」。自社の立場からどう読むべきかという捉え方などは、従来の専門書では述べられていない点だろう。また、読み間違えれば致命的になりかねない数量、日時、期間といった数字に関連する表現の留意点一覧は、一読するだけでなく、いつも手元において参照したい項目のひとつになりそうだ。本書は、専門家向けの書籍では難しいし、原則ばかりで実務にはそぐわないと感じていた人に格好の本である。また、契約売買書、ライセンス契約書、合弁会社契約書の実例も掲載されている。まずはこれらの契約書を読みとってみて、自分の英文契約書の理解レベルを測ってみてはいかがだろう。(祐静子)