気のきいたことを書いてやろうというお手軽な自意識と、英語ができる自分が高級ホテルでエグゼクティヴの白人男性にもてることを自慢する嫌味でこの本は成り立っている。だからといって、そんなたぐいの文章がすべてダメってことは決していえない。いくら自意識過剰で嫌味な文章だって、面白いものは面白いんだから(昔、ミス・ミナコ・サイトウっていうのがいたよね。あれは面白かった)。
でもこの本はぼくには面白さがわからない。アカの他人が読んで、なかなか共感しにくい文章なのね。なぜなら、自意識に対する解析がないから文章に批評性!が見受けられないし、嫌味が芸の域に達していないので娯楽性にも乏しいためだ。
簡単にいえば、この本の著者は「叶姉妹に学べ」ってことです。叶姉妹は、自分たちが自意識過剰で嫌味なキャラを演じてることをよく知っている。だから、彼女らのパフォーマンスには批評性(これも簡単にいうと「自分のセールスポイントと弱点をよく知っていること」とでも説明できるかな)が感じられるわけ。