旅に出たくなる良い本です
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お金をあまり使わず、時に気ままに、徒歩だけで旅するというスタイルは、男の子なら誰でも一度は夢見るのではないでしょうか。
でも、実践となると、とても難しい。
この本の著者は、そんな憧れのスタイルを実現しています。しかも、およそ最小限の装備で。
写真を使った臨場感溢れる漫画で構成される旅の記録は、もちろん素敵なのですが。
なにより、ことさら必要以上に困難や苦労を描くこと無く、サラッと、生活の一部を語るように旅の記録を語るそのスタンスがすばらしい。
だから、この本を読むと、自分の生活もこんな旅につながっているんじゃないか、自分も出来るんじゃないか。そんな気持ちになれます。
今度の休み、歩いて出かけてみようか。行きたかったあの場所に出かけてみようか。
そんな気持ちにさせてくれます。
日常の生活を、旅につなげてくれる。そんな素敵な本です。
可愛い青年には旅をさせよ。
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僕はバイクで旅するが、彼は歩きっていうのが昔の人と同じでイイ!!
旅人の視点、巡礼行者の気持ちが追体験として蘇る。
何人の人間が彼と同じ旅が出来るか?時間もお金も根気も無い僕は追体験を得たいために為に彼にお金をおとす。
というかお賽銭感覚で本を買うから、感動という現世利益をくださいさいなアンギャマン。
左居士は出雲を行脚。
次はどこまで行脚する?
全行程、自分の足で目的地まで歩いて行った人。
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作者のサイト「スカラムーシュ」で読んだにもかかわらず、買ってみた。
ネットで見るとスクロールしていくだけで見られるけれど、紙に印刷されたものをページでめくっていく楽しさは別。一冊の本になっていることで、全行程の容量みたいなものを手で感じられるから。
300ページオールカラーなのに軽いのもよし。
(少しにじんで見えるような気がするのは、嵩高用紙だから?)
最近は、寝る前に少しずつ読んでいる。
全ページ旅の景色なので、頭の中がリセットされる。淡々と続くリポートだからへんな緊張感というかプレッシャーもないし。
どこから読んでもいい本だし、一緒に同行している気持ちになれる。
グルメ情報や観光地情報はないが、シンプルな旅のおもしろさを味わわせてくれる。一歩一歩がつながって目的地に着くんだ、ということを感じさせてくれる本。
作者とともに旅をする目玉の「たく」はこの「リアル遠足」の隊長だそうだ。たくの姿だけを追ってコマを読み進めるのも楽しい。柵の上を歩いたり作者の帽子の上に乗っかってたり、動きがけっこうかわいい。
ほかの旅も本で読んでみたい。
行脚な気持ちになる不思議な漫画
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徒歩で大阪から伊勢神宮にお参りをする旅路を描いた、ロードムービー的な漫画。
背景に道中の風景写真を上手に使っていて、自分も歩いてるかのような気分になる。
神社仏閣に寄り道参拝したり、山道を歩いたり、野宿ポイントを探したり、
乾き物等の食事を取ったりして、伊勢を目指してひたすらと歩くシンプルな一連の行為が、
心地よいグルーブ感を生み、購入して数日ながら何度か読み返してしまった。
昔の日本人の時間の感覚はこうだったのかなとか考えてみたりと、噛めば噛むほど
色々な旨味がでるスルメのような漫画だなと思う。
出来る事なら関西以外の場所も読んでみたいし、現在web上にある他のリアル遠足も
単行本化してほしい。
リアル遠足シリーズはもう少し評価されてもよいのでは…、と個人的に思います。
現代の巡礼者のリアルな記録
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作者の左氏は自称ニート。
しかし、サイトで発表されている膨大な日記マンガを読んでいくと
ニートと呼ばれる人たちの一般的なイメージとはかなり異なる。
二十代の若さでありながら過激なまでにストイックで謙虚なその姿は
まさに在家の修行者、修験者と呼んだ方がぴったりである。
(そんな氏を厳しくも暖かく見守るご家族、ご友人の方々にも敬意を表したい。)
タイトルの「アンギャマン」とは「行脚マン」。
大阪から三重の伊勢神宮への徒歩での一人巡礼(リアル遠足)の記録マンガである。
初めは友人への罰ゲームとして始まったという「遠くに足で行くから遠足=リアル遠足」。
「目的地までただひたすら歩く」という誰にでも出来そうで簡単には出来ない苦行である。
だが、歩き旅であるがゆえに、現代では当たり前のように利用する電車、車、バイクなど、
他の交通機関を使ったら見落としてしまうであろう素晴らしい景色や、ちょっとした史跡なども登場し、
「自分もやってみたい」と感じさせてくれるとともに、
人はやる気さえあればこれほどのことが出来るのだという勇気を与えてくれる。
本書は、サイトで公開されているリアル遠足「伊勢」編に、
これから歩き旅をしてみたい人向けのアドバイス「歩く旅のススメ」
「こぼれ話」「あとがき」が加筆され、一冊にまとめられたものである。
道中は、左氏のストイックさを体現したような謎の生物「タク」と、
アンギャマンこと作者のかけあいで進んでいく。
デジカメ写真にキャラクターを載せるというマンガとしてはやや反則的な手法ながら
写真の中に違和感無くキャラクターが溶け込んでいることからキチンと計算されて
撮影されていることがうかがえる。
無名の新人のフルカラー300ページの漫画を出した出版社の英断に拍手を送ると共に、
是非シリーズ化をお願いしたい作品である。