無住心剣術のメッセージ
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無住心剣術開祖針谷夕雲、二代小田切一雲、三代真里谷円四郎の略歴を詳細にたどりながら、日本の剣術史上でこの流派がいかなるポジションを占めてきたか、資料と著者による詳細な考察により迫っている本作は、無住心剣術の研究書としては最新かつ最も信頼できる著作である。 この無住心剣術を後世に伝える上で貴重な役割を果たした天真白井流の白井亨、その師である寺田五右衛門、 また現代剣道に大きな影響を与えた千葉周作や、山岡鉄舟などにも言及しており、日本の剣術における無住心剣術の、主に精神文化に関する役割などを、近い考え方を持った諸流派などを例に挙げこれに考察を加えている。
無住心剣術の現代の我々に対するメッセージは、受け取る人間によって多様であろう。是非目を通してこれを感じて頂きたい。
すべての武道関係者の方に読んで頂きたい
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この甲野氏による著書は、無住心剣術の開祖、針谷夕雲、二代小田切一雲、三代真里谷円四郎についての詳細な研究と考察、この流派を今に伝えた白井亨の開いた天真白井流、その師である寺田五右衛門などに対し今まで出たどの著作よりも詳細な研究がなされている。その他無住心剣術とゆかりのあった剣術流派、また現代剣道へ大きな影響を与えた千葉周作や山岡鉄舟などにも言及しており、剣術における精神文化の成り立ちと、無住心剣術の特異性をさまざまな角度から検討している唯一の著作である。無住心剣術の研究書としては最先端かつ、もっとも信頼できるものであろう。この著作の社会的価値は非常に大きなものがあると私には思われる。是非、全ての武道関係者に読んで頂きたい一冊である。
甲野善紀氏の最高傑作
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元武術稽古研究家の甲野善紀氏による無住心剣術の解説。無住心剣とは一切の技法を捨て去り、剣を片手にてただ振り上げておろすのみの剣術で、その極意は無住心術を極めたもの同士はお互いに打てない「相ヌケ」となるという。本書はその特異さ故に後世に伝わることの無かった無住心剣を、歴代伝承者やその影響を多大に受けた白井亨などが残した資料に基いて実態にせまっている。江戸期に隆盛をみながらも伝承が絶えた無住心剣を初めて体系的に研究したという意味で武術史上に果たした本書の役割は大きい。後世に研究をおこなうもののまたとない資料となるであろう。