写真集としても楽しめます
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かつてのオーストリア・ハンガリー二重君主国に属していた地域の建造物を紹介した本です。
長らくこの地域は一体性を保っていたので、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、オーストリア、ハンガリー、ルーマニアを採り上げているのは至極妥当な事に思えます。
構成としては、各国に分けて各々の国で注目すべき建築物についてそれなりに詳しい解説をしています。分量も多く満足いける内容です。
写真の多さも理解の助けになることでしょう。
また建築様式についてのコラムもあり、個々の建築物だけでは把握し辛い建築物の傾向の説明もしています。
建築に関わる本を多く出している出版社ですが、この本に関して言えば専門用語もなく、読んでも見ても楽しめるなっています。
実際に旅行に携帯していくのにも便利な一冊です。
難点は最後の方に少し触れられているのですがアドリア海沿岸部、クロアチア、スロヴェニアに対しての言及が少ないということです。
この地域も間違いなくオーストリア・ハンガリー二重君主国で無視できない地域でした。他のシリーズを見ると紙幅の関係上割愛せざるを得なかったのかもしれませんが、いかにも残念な事に思われます。
しかしながら個々まで楽しめ、建築についてもしっかりとした説明をしている本は他に見られません。中東欧地域を旅行される方にも建築学を学ばれる方にもお勧めの一冊です。