どこか中途半端
★★☆☆☆
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作『森の回廊』の著者が、
同じ北ビルマを舞台に綴ったエッセイ集。
反政府ゲリラに同行しての旅の凄まじさに比べ、
北ビルマ諸民族のアニミズム的な世界観について語った部分では
むしろ常識的とも言えるレベルの記述に終始しており、
文章もやや感傷に流れがちな点が気にかかった。
巻末の参考文献表を見る限り、
本書執筆のために著者がこなした読書量は相当なものだが、
かえってそれが仇となってか、
体験の生々しさが色褪せた分を、
書物由来の間接情報で無理に引き延ばしているような
物足りなさを強く感じる。