一般論でいう成年〜青年向を実感した内容
★★★★☆
中村卯月氏は基本として成年誌向けの作家としている。個人的には成年男性指向と、一般青年誌向の性描写との違いが良く理解できていなかったのだが、この作品を読み進めていてその違いの一角を垣間見た気がする。
ストーリー性重視か、性描写重視かによる抜本的な違いであり、この作品は比較的前者であると個人的には思った。しかし、こういった作風は如何にストーリー性を重視しても、読者のインテンションはヒロイン格の美女・美少女との濡れ場・絡みであり、ストーリー上の矛盾や齟齬は謂わば宿命とも言える。
登場してくるヒロイン格、サブキャラを含めた主人公との性的関係は王道なので(むしろ、それが無ければタイトルからした作品コンセプトが遺失してしまう)、そこは違和感なく読み進められることはできる。
この作品の第1巻からして、惜しむらくはそうした難しい舵取りが、中村氏も例外なくあったのかなと言う印象ではある。性描写を重視した成年指向と、ストーリー性を重視した青年指向という両方の視点から読めば、互いの長所・短所が良く解る作品のひとつであろう。