売れっ子写真家の中高生時代の作品群
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著者の三好は楽園をテーマに世界中のビーチやホテル、近年は日本国内の世界遺産やネパール、サハラ、南極など単に美しい風景に留まらず、自然、文化的価値を背景とした風光明媚な写真を世に出し続ける、我が国を代表する写真家だ。その彼がプロになる以前に撮影した沖縄の島々。
1972年、当時中学生だった三好は返還間もない、この地に楽園を求めて単身、撮影旅行を敢行。本当は台湾に行きたかったがパスポート申請が親にばれてだめになったためだとか。その行動力にも驚かされるが、氏の撮った南西諸島の島々の写真だ。大半がモノクロームだが見事に南国の照りつける陽の強さと透明感あふれる画調がグレーの階調で見事に表現されている。そのうえ、どのカットも実に画面構成が緻密に採られ、完璧なアングルで表されており、その秀麗さはとても中学生とは思えない。人々や動物、豊年祭など当時の島の姿を知るうえでも貴重だが、それらの人々や動物の表情が実に自然でカメラを意識していない。
三好は夏休みの一ヶ月間、島の漁師の家にやっかいになり、その家族らと生活をし、時には仕事を手伝い、写真を撮った。まるでドキュメント取材さながらの手法だ。当然、そんな三好に向けられた島人の眼差しはどれも皆優しい。こうして撮られた作品は、審査の厳しさで知られる銀座ニコンサロンで個展を開催し発表される。当時17歳の三好の出現に写真界は騒然とした。現在もニコンサロンでの個展開催最年少者としての記録は破られていない。写真を志す者のバイブル的な書。
売れっ子写真家の中高生時代の作品群
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楽園をテーマに世界各地のビーチやホテルを。近年は日本の世界遺産やネパール、サハラ砂漠、南極と風光明媚な絵画的な写真を世に出す日本を代表する写真家。その三好を知るうえでの重要な一冊が本書。1972年当時、中学生だった三好は南の島の憧れから単身、沖縄に撮影旅行へ。本当は台湾へ行きたかったそうだがパスポート申請で親にばれてしまい、国内旅行に切り替えたとか。その行動力にも驚かされるが、返還間もない沖縄へ彼は楽園を求める。大半がモノクロームの写真で構成されているが、どれも皆、南国の強い日差しと透明感のある空気感がまるでカラー写真のようにグレーの階調で見事に表現されている。さらに画面構成が中学生とは思えない、完璧な構図で切り取られている。そして画質の良さ。フィルムのポテンシャルを目いっぱいに引き出しているゆえ、30年前とは思えない超微粒子のプリントだ。同時に当時の南西諸島の島人の生活が伺える。島の子供たち。動物。豊年祭。どの人も動物も全く警戒感がなく自然な表情。当時から広角レンズでの壮大な風景描写を身につけていたことを伺い知ることができる見事な造形感覚。三好は夏休みを利用し、漁師の家にやっかいになり、島の人々と折に触れながら撮影したという。まさにドキュメント作家ばりの被写体へのアプローチ法。これらの写真は今も審査が厳しい事で知られる「ニコンサロン」で個展を開催し発表された。当時、氏は17歳の高校生。現在もニコンサロンの最年少開催の記録が残されている。写真を志すもののバイブル的な書。