ただし著者はこれらの調理法(=適温調理)を「煮る料理」のみならず、「茹でる」「蒸す」「揚げる」と全面展開するのですが、それらの多くの料理は、たしかに素材の味もひきだされ、それなりに旨くはあるのですが、病院食のような、眠い味と言いたくなるものも多く、やはり著者の提案する調理法は,やはり「煮る」調理にこそ一番ふさわしいのでは、という感想を(ぼくは)もちました。そう、煮豆や、カレー、シチューなどには、抜群。
また、監修役の村上信夫氏は、いわゆる「お墨付き」を与えた形で、レシピのほとんどは著者たちのもので、それらのレシピは、総じてやや平凡で、香りや、味のメリハリにとぼしいものでした。
しかし、適温調理には、それらの欠点をおぎなってあまりある発見があり、調理をするすべての人に、なんらかの気づきを与えるはずです。