この偏見は、家人にただされた。金のない時代にニューヨークにいった彼女は、デリカテッセンにどれだけ救われたか、あるいは胃と満足を満たされたかをあつく語った。もっともツアーで同じだったお姉様たちは、夜の街にでかいエビなんかを食いに出かけて、結果悪態ついて帰ってきたそうであるが。
それからもう何年かが経った。家人が見つけたこの本には、かつて胃と満足を満たしたいくつかが載っているらしい。おまけにくわしいレシピまでついているではないか。
ここはいさぎよく白旗を振ろう。ニューヨークに食あり。それはデリにあり。