鉄筋コンクリートで長期間使えるはずなのに、なぜか日本のマンションは「30年」という欧米の3分の1にも満たない短い期間で破壊され新築されている、と著者は言います。大手不動産会社や建設会社の強い圧力を指摘する著者は、その元凶である田中角栄に舌鋒鋭く迫ります。
単に過去を糾弾するだけでなく、神戸震災で表面化した被災マンション建て替え問題、破壊せずに建物を再生させるリファイン建築の実例、太陽の光を利用したシステムや「無暖房住宅」、定期借地権の本来の姿など、今後の希望のタネも著者は提示しています。
著者の「スクラップ&ビルドは結局、高くつく」という主張が伝わってくる一書でした。
また、現在販売されているマンションには容積率の余裕が無いものも
多く、事例にある稲毛の団地が許容容積率の中で割り増し床を使った
建替の費用や補償の算出の仕組みは難しくなっています。
初学者にも読みやすい1冊です。