本書は、IP-VPNとMPLSを中心にVPNについてわかりやすく解説したものである。専用線やATM、フレームリレーによって実現された通信路が、今日普及しているVPNにいたるまでの背景や技術についても述べているので、本書を読むだけでVPNの歴史と技術をひととおり理解することができる。
主な内容は、VPNの基礎として、VPNとは何か/何ができるのか、VPN技術の歴史、セキュリティ技術、最近の動向について、次にLAN間接続VPNとリモート・アクセスVPNという形態とVPNモデルについて述べ、IP-VPNの運用形態を解説している。さらに、PPP、RADIUSなどの認証技術や、L2TP、PPTP、L2F、MPLS、VLAN、IPsecなどのトンネル技術、暗号技術などの仕組みについて、最後にMPLS-VPNの仕組みや優先サービス技術、VPNの選択と構築法について説明している。VPNを実現するために必要なネットワークとその仕組みについてそれぞれ分かりやすい図を配置しているので、理解の助けとなる。
本書は、遠隔地のネットワークを安く安全に構築したい技術者だけでなく、個人のVPNに興味のある読者にもおすすめするものである。(大塚佳樹)