『システム管理者の眠れない夜』が、素人に苦しめられるシステム管理者の悲哀を描いたのに対して、こちらは顧客に苦しめられるシステムインテグレーターやその下請けといった、プロ対プロのやりとりが主題となっている。ジョークを挟みながら軽いタッチで話が進められているが、内容は、決して笑えない。
サービスの質の低下を招く下請け依存体質、顧客がITにうといのをいいことに責任をなすりつけるシステム会社、高邁な理想とはかけ離れ、単なる金儲けと化した認定技術者試験制度、理不尽な要求を突きつける官公庁や銀行…。マスコミ報道では決して知ることのできない、理不尽なIT業界の裏事情を明かした、貴重なドキュメントである。
決して失敗の許されないシステム統合、万が一にも漏れてはいけない個人情報、絶対に消してはいけない貴重なデータ…。本書を読む限り、これらは非常に脆弱なしくみによって支えられているようである。業界人よりもむしろ、これらの業者に仕事を委託している企業経営者やビジネスパーソンにこそ、読んで欲しい1冊である。(土井英司)
大手コンサルや大手ベンダーだって結局ネームバリューで仕事をとって、提案とプロマネだけして、他の面倒な仕事は全部下請けにまる投げ。
まあ、ITにあこがれている皆さんはこれを読んでほしい。
IT業界も結局、受注を受けてからプロジェクトをするからゼネコン・建設業界と構図は変わらん。
実際の職場ではこんな話はやまほどある。
IT・SI業界の仕事で行き詰っている人にもオススメ。
自分と同じ境遇の人がいかに多いことかわかって、悲しいが笑えてくる。
土曜の深夜から日曜の早朝にかけてITの仕事をしている人、プロジェクトが佳境に迫っていて曜日の感覚がなくなっているひと、ぜひ読んでほしい一冊である。
コンピュータ関連のこういった本は、書き手のスタンスが偏ってい
たり(おたく系)、文章能力が酷かったり、特定のメーカーや製品に
固執しすぎていたり、あまりに内輪ネタ過ぎて背景がわからなかったり
といったことが多く(まあそれが面白さだったりもするわけですが)
後味が悪いことが多いのですが、この著者は技術力は確かで、顧客志向
であり、文章力もあって、今回も大満足の1冊でした。
システム開発新人でも、理解できるので心配無用!経験豊富な人であれば、きっと納得するところもあるはず・・・。(耳が痛いところも・・。)