著者は日本にあるおもだった地名のほとんど全部が「カラ」のつく言葉に由来するという非常に奇抜な考えに基づいて本書を執筆している。もし地名の多くがかくのごとくごく単純な原理によっているという主張をするのであればそれについての証拠なり理論なりを充分展開すべきであると思われるがそのような記述は見られない。ただ日本全土の地名ひとつひとつを「カラ」に帰着させているのみである。説得力のある説とはいいがたい。