アバを愛する人々（自覚はなくたって、このレビューを読んでいるあなたもその1人）にとって、本作『Abba Gold: Greatest Hits』は大満足の楽しいコンピレーションだ。このスウェーデンのスーパーグループが残したおびただしいビデオのうち、19本を収めている。『Abba: The Definitive Collection』収録の13本をオミットし、「Lay All Your Love on Me」と「I Have a Dream」を追加した格好だ。どの作品も同じスタジオで撮影されたらしく、さほど変わりばえしないが（ひときわ高い人気を誇る「Fernando」にしても例外ではない）、アバの魅力と親しみやすさは十分に伝わってくる。ファンには鳥肌ものの貴重なクリップ集だ。見ていると、さまざまな再発見がある。一番カメラ写りがいいのは誰か（アグネタだ）。一番ダンスがうまいのは誰か（フリーダことアンニ・フリード）。一番おしとやかなのは誰か（ベニー）。一番口パクが下手なのは誰か（これはビョルン――いつも決まってビョルンだ）。
   これら初期のビデオのほとんどを演出したのは、後にオスカー候補の映画監督となったラッセ・ハルストレム。はしゃぎすぎることのない、自然体のアバを見せてくれる。ただ、さすがのアバも80年代になって電子音を取り入れるようになると、スタイルにおいても内容においても振るわなかったようだ。「Waterloo」や「Take a Chance on Me」といったおなじみの名曲に加え、25年の歴史をつづったドキュメンタリー、「Dancing Queen」の1992年版ビデオを収録。こうなったら言わせてもらおう。こんなに素晴らしい音楽とビデオをありがとう！（Mark Englehart, Amazon.com）