Lispのおすすめテキストです
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1984年5月〜2003年3月まで隔月刊行されたサイエンス社のコンピュータサイエンス雑誌Computer Todayの創刊号から全16回が連載された「初めての人のためのLisp」が原典です。先生役のT氏とK大先生、生徒役のA君、B子、C君が中心となってLisp講座らしからぬLisp談議が展開される気楽に読める連載です。私の憶測でしかありませんが、T氏は著者の竹内郁雄氏、K大先生のモデルは黒川利明氏ではないかと思われます。連載終了後、本書の前著が発刊されましたが、いつでも買えると思っているうちに絶版になってしまい悔しい思いをしていました。
私は学生時代に雑誌の連載で初めてLispを学びました。この連載でLispのいろはを学び、当時の日立製8ビットパソコンBasic Master Level3用の小規模なLispインタープリターや、大学のメインフレームに乗せてあったUTI-Lispでプログラミング練習をしました。その後もBASICではなくCommon Lispを乗せたCASIO製のポケコンで、現在も良く使うデータ処理プログラムを書き、今もPCにも乗せて便利に使っています。
連載では明示されていませんでしたが、MacLisp系統の流れを汲む共通規格Common Lispはまだ無く、少し古いLisp1.5系統の方言Lisp1.9の形式に沿っていました。しかし、他の方言の扱いにも困らないような普遍性を持つ記述でした。実際、この連載を読んだだけで、先の8ビットパソコン用のLispやUTI-Lisp、そしてCommon Lispと容易に対応することができました。間違いなくLispのテキストとして名著の一つだと思います。それが改訂されてCommon Lisp準拠版として改めて出版されることは喜ばしいことです。
この本でLispの信者が増えることを願っています。