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A Grand Don't Come for Free

価格: ¥1,151
カテゴリ: CD
ブランド: Vice Records
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   称賛されたデビュー作に続くアルバムを、過去の栄光を繰り返すことなく、誰にも真似できないスタイルで作るにはどうすればいいか?答えは簡単、コンセプト・アルバムにすればいい。(ザ・ストリーツこと)マイク・スキナーによる本作は、電話で友人としゃべっているかのようなサウンドで、ここ最近の悩みや成功についての物語を語りかけてくる。物語はシンプルだが、その語り口は、単にあらすじを説明するトラックを並べるよりもはるかに一貫性を保っている。

   この物語で重要な役割をになう“壊れたテレビ”は、ガールフレンドのシモンがスキナーに隠れて親友のダンとデートしているという危険信号として、アルバム全体を通じて引用されている。昼メロのように聞こえるかもしれないが、さまざまな工夫で奥行きが加わっているのだ。たとえば、細部にまで気を配った歌詞(「Such a Twat」では「彼女はマクドナルドの駐車場で、白シャツを着た男と一緒にいた」と口ずさんでる)や、リリックの内容に沿った構成のサウンド(「Blinded by the Light」ではハイハットや効果音やピアノの音で、エクスタシーを服用した体験を表現)、心の内をさらけだすあからさまさ(激しい愛を語った美しい叙情詩「I Wouldn't Have it Any Other Way」や心を締めつける別れの歌「Dry Your Eyes」)がそうだ。

   サウンド面について言えば、ブレイクとビートは前作『Original Pirate Material』によく似たスタイルだ――都会的で変則的なドラムのループ、シンセ、クラシック風のストリングス。だがファースト・シングルの「Fit But You Know it」はその例外で、パンクなギターと揺るぎないビートがリリックの内容と同じく、このトラックを疾走させている。本作を巡っていろいろなことが書きたてられるだろう――ここ最近のコンセプト・アルバムの中で傑出しているだけでなく、その語り口の複雑さと生々しい感情の揺れは、リスナーに考えさせる材料をいくつもあたえ、注意深く耳を傾けさせずにはいられないのだ。(David Trueman, Amazon.co.uk)