ラリー・ウォールのPerl・ラクダ本と併せて大変な名著である。おそらくは日本語化されたCGIの本で最も本格的な専門書といえると思う。
その一方で例題がとってもユーモアあふれているのが面白い。246ページの『SQL入門』では有名なバスケットボール選手の名前が続々でてくる。ラリー・バードやマイケル・ジョーダンといった例題でCGIとSQLを説明してくれという楽しさ!!
PerlとCGIには必須の一冊。
内容は、ありがちな「掲示板作成」的なものではなく、CGIの仕組みをシステマティックな視点から解説するところから始まっており、HTTPプロトコルとCGIの基礎をしっかりと学んだ後、「車輪の再開発は避ける」をポリシーに、CGI.pm、CGI::Carp、HTML::Template 、HTML::Embperl、GD::Graphなどの実用的なモジュールの使用法などへと進む。また、一般公開向けのCGIプログラムとしては避けて通れないセキュリティ関連の話も余すことなく記述されている。FastCGIやmod_perlなどのトピックにも触れているところが更に嬉しい。
近年ではJava ServletやJSPなどに押され気味で語られる機会の少なくなってきているCGIではあるが、この本を読めばまだまだ現役として活用していくに十分な価値のある技術であることを再認識することができると思う。
対象読者としてはPerlの基本的文法は身に付いていることを前提としているので、初学者にはお奨めできないが、ラクダ本やクックブック等にある程度目を通したことがあれば、苦せずして読破することができる本である。