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能役者・写楽

価格: ¥3,132
カテゴリ: 単行本
ブランド: 三一書房
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写楽は、能役者斎藤十郎兵衛 ★★★★★
東洲斎写楽ほど謎に包まれた浮世絵師はいないでしょう。活動時期が非常に短かったことと、手がけた作品も多くなく、一方で大首の役者絵に代表されるように絵画史的にみても類をみない個性あふれる作品が、洋の東西を問わず多くのファンを作り出しています。

過去において実に多くの浮世絵愛好家や歴史家が写楽の実像に迫ろうとして様々な推論を発表してきました。史料の少なさと写楽の画風の特異性によってその人物像の構築と特定の難しさは、美術史の謎の一つに挙げられます。

本書はそんな写楽の人物像に迫る決定稿だと言えましょう。内田千鶴子さんは、江戸文化研究家であり、写楽研究家です。他にも写楽に関する多くの著作を表わしています。
「写楽役者絵の分析―外題と場面構成」「写楽役者絵と狂言構成」での歌舞伎狂言の筆者の知識は半端ではなく、「能楽の影響を受けた歌舞伎」「写楽役者絵の衣裳と能衣裳」では、写楽の作品を詳細に分析し、それへ影響を与えたものを見極めようとしています。

「舞楽と能面と写楽大首絵」での関連性は、新しい側面から写楽研究を捉えた画期的なものでしたし、「写楽伝承研究の現状」では、筆者が弘化元年(1844)の斎藤月岑著の『増補・浮世絵類考』に記してある阿波藩士斎藤十郎兵衛が写楽である、としたところからスタートしています。その記述を裏付けるように斎藤家が八丁堀に住んでいたことも立証されましたし、徳島市の歴史愛好会「写楽の会」の調査による法光寺の過去帳から辿られた論考も素晴らしいものでした。

史料に基づきながら、実証的な手法による論考ですので、説得力もあり具体的な論でもあり、万人が納得する労作だと感じました。