中庸が肝要
★★★☆☆
(1) あまりにも専門的すぎる。
多くの収集家は、今の「日本切手専門カタログ」と「さくらカタログ」を足して二で割ったレベルのカタログを望むだろう。
詳細な定常変種や紙質、目打ちの分類のため、概観がつかみにくく、木を見て森を見ずという感じがする。
ギボンス・カタログやミッヒェル・カタログなどのような、要領の良さが必要だ。
詳細な記述は、たとえば「手彫り切手ハンドブック」など、シリーズ毎にハンドブックを出した方がいいのでは?
(2) カタログ番号の変更が多すぎる。
震災切手の分類も、以前のタイプI-IVのままでよい。サブタイプ分類も以前の版で記述されていたものが、無くなっていたりして
とまどう収集家が多いだろう。たとえば有名な「トンボの付け根かけ」がどこにのっているかわからない。
メイン番号、サブ番号の変更が多すぎる。
ミッヒェルの様に、カタログ番号は原則として、不変という方針で編集してほしい。
また、番号の変更があるときは、変更履歴の一覧を巻頭にまとめてほしい。
(3) カラー化
海外のカタログは、専門カタログも含め、カラー化されている。
世界で最初に、カラーカタログを出したのは日本郵趣協会なのだから、がんばってほしい。
(4)なるべく一冊にまとめ、毎年カタログを出してほしい。
以上、苦言ばかり書いたが、それだけ「日専」を頼りにしていると言うことです。執筆者、編集者の方々、がんばってください。
震災切手の記述の充実
★★★★☆
今回の改訂で、小判切手から大正切手まで詳しくなったが、小判、菊、田沢については、専門的な分類が切手の色の違いから始まっているので、実際にこのカタログを使いこなすには初心者では難しい。また、これらのシリーズに関してはリストも冗長な感じになってしまった。むしろ2007年版以前のほうが使い勝手がよかったように思われる。この点では評価は二つ星というところ。
また、震災切手については、大阪印刷と東京印刷で別に記述されて、版欠点も詳細になり、大きく進歩していて、最新版でないとやくにたたない。惜しむらくは、大阪印刷のサブタイプの記述が削除されてしまったので、次の版ではバージョンアップした形で復活していただきたい。
また、英文の記述も今後海外の読者にアピールする意味で必要だと思われる。また、今後国際切手展に出品する収集家に対し、日本語の独特の用語をどう英文で表現するかは大きな問題になるので、英語表示の充実がのぞまれる。