機能美あふれるキノコ狩りの友
★★★★☆
食用キノコを中心に、きれいな写真と丁寧な解説で、キノコ狩りの人にとってはありがたいキノコ図鑑。
最大の売りはなんと言っても美麗なキノコ写真。これらはキノコ写真家として第一級の腕前を持つ大作氏によるもので、背景白抜き写真・生態写真ともに折り紙つきの逸品。しかも原寸大が基本で、傘の裏側や断面の写真も多くまじえており、派手さこそないものの、機能美にあふれている。
これらの写真に添えられるのが博物館の学芸員である吹春氏の解説。この系統のキノコ図鑑としてはややアカデミックな内容も盛り込まれているが、基本的には平易な文章で、各キノコの見出しやちょっとしたエピソードには親しみも感じる。全体として丁寧で過不足のないものに仕上がっていると思う。
食用キノコ140種・毒キノコ60種の構成は、やや毒キノコ多すぎの気もしなくはないけど、まあこのぐらいの認識(3割が毒)でいてもらった方が間違いが少なかろうし、毒キノコの個性だってなかなかに捨てがたいから、これはこれでいいかな、と。間違えやすいキノコを同じページにまとめてもらっているのもよい。
全体として機能性が高く、シンプルで清潔にまとまっており、キノコ狩りに行く人ならば買って損はないだろう。
むしろ問題は近年目立つ気候不順かも。これからもちゃんとキノコが生えてくれるといいけどね……