このように述べれば、皆さんの好奇心を刺激出来るだろうか。一体どんな人たちなのか。毎日何をし、何を考えているのか。パーティーではどんな会話をするのか。日本のことをどう見ているのか。そんなミーハーな気持ちで本書を手に取ってみて欲しい。
本書には、緊迫感あふれる交渉の場景、いわゆる「外交」は一切出て来ず、ミーハーでなければとても読めたものではない。その代わり、和やかな社交舞台と穏やかなその裏側とが楽しく描かれ、著者がいかに数々の大使夫人に魅了されたか、彼女ら(彼ら)にいかに敬意を抱いているか、が文面から伝わって来る。
人が人に魅せられる。人間としてこれほど幸せなことはあるまい。さて、本書を読まれる皆さんは大使夫人のどこに魅せられるだろうか。著者はこう答えるだろう。「大使夫人という職業は存在しない。しかし大使夫人という立場は、大使にはない、国のイメージを上げることが出来る何かを、持っている」。