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カラヴァッジョ 灼熱の生涯

価格: ¥480
カテゴリ: 単行本
ブランド: 白水社
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カラヴァッジョの伝記を読む ★★★★☆
 私がカラヴァッジョの絵画に強く魅せられるきっかけとなったのは、1986年に、NHKのTV番組『ルーブル美術館』(日仏共同制作)のシリーズで、紹介された作品を観てからです。なかでも「聖マタイの召命」と「聖母の死」には、抗し難く引き込まれるものを感じて、書籍出版の『ルーブル美術館』(Ⅴバロックの光と影)を購入し、その図版を何度も眺めたことでした。
 また、この年、映画『カラヴァッジオ』(デレク・ジャーマン監督)が発表され、そのサウンド・トラックを、私が当時興味を持っていたイギリスのインディ・レーベル、el(エル)のミュージシャンが担当していたことから、すぐさまCDを手に入れると、絵画と同様な深い精神性を感じて、愛聴盤になりました。こうしてカラヴァッジョという画家の名前は、私にとって特別な名前の一つになったのです。

 この本『カラヴァッジョ 灼熱の生涯』は、3年程前に『週間美術館49カラヴァッジョ/ラ・トゥール』の末尾に紹介されているのを見て、その存在は知っていたのですが、最近やっと購入して読むことができました。(前置きが長くてすいません) 著者の本業は歴史家ということで、画家の置かれている時代背景からわかりやすく説明してくれています。私のような生半可にしかイタリアの絵画や歴史を知らない一般的な読者でも、理解しやすい内容でした。画家のスキャンダラスな人生そのものが興味を引きやすい点はもちろんですが、画家の不確かな評価や行動に対する著者の明快な推察も歯切れがよく、この本を親しみやすいものにしていると思います。私は毎晩、就寝前に2章くらいずつ、ベッドで横になって読みました。先に買っておいた『フェルメール デルフトの眺望』は、まだ全然読んでいません。(あはは)

 カラヴァッジョは近代的な精神を持った画家の先駆者だといいます。この本の「訳者のあとがき」を読めば、彼が前世紀の前半くらいから再評価が高まって来ていることが知れます。日本では先進国と呼ばれる過程で、ともすれば物質主義が優先され、個人の内部では荒廃や空虚が進んでしまったと言われ始めて、ずい分になります。「聖マタイの召命」での収税人マタイは、よく言われるように、博徒の親玉のようにも見えなくはない。金の勘定をする彼のもとに、神の子(キリスト)が現れて、光明を背に、私に従いなさいと手招きをする。それは、どこか物欲による荒廃からの、精神の救済を促す場面のようだ。こうしたところに、現代人が共鳴し、こころの慰安を感じとっても、なんら不思議は無いのでしょう。