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無頼の画家 曾我蕭白 (とんぼの本)

価格: ¥1,512
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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異端は時代を越えて鮮烈な光を放つ ★★★★★
曾我蕭白の代表作を網羅した画集です。近世絵画において、狩野派や琳派、四条派といったある種のメインストリームに光があたっていましたが、近年の美術史学界において、それとは違う現代感覚に通ずる「異端」の絵師への注目が集まっています。

若冲、芦雪、そして曾我蕭白もその一人です。京都国立博物館で大人気を博した曾我蕭白展を企画した近世日本絵画研究者の狩野博幸同志社大学文化情報学部教授による著作ですので、これ以上の解説はないでしょう。曾我蕭白の作品を理解する上で避けては通れない本です。

蕭白の画業の特徴を表わしている『群仙図屏風』は折り込みを使用して紹介しています。キッチュとも言える人物群が不思議な世界を作り出していました。この代表作を眺めますと、確かに蕭白が力量のある絵師であるのはすぐに理解できます。時代が彼を評価できないまま近年まできたわけで、異端は時代を越えて鮮烈な光を放っていました。

解説もQ&A形式を取り入れ、とても分かりやすく、それでいて興味深い内容が続きます。
「おバカ顔に見えますが、みんな賢人です」という見出しからして堅苦しい美術書の記述とは一線を画しています。美術愛好家だけでなく、多くの読者の知的好奇心を満たすものだと思いました。まさしく好著と言える内容だと高く評価しています。

112ページ以降に横尾忠則氏による「芸術の魔界に踏み込んだ画家」という解説が載っています。蕭白の「雪山童子図」からヒントを得た横尾氏の「ニューオーリンズからの使者」が掲載してありました。異端は異端を評価しているわけですね。

どのページを見ても凄い絵が続きますので、初めて蕭白と出会った方は驚くでしょうが、強烈な作風に今再び関心が集まるということから、曾我蕭白を評価しなくてはいけないでしょう。
型破りの絵師・蕭白ワールドに、ようこそ ★★★★★
 奇面人を驚かすエキセントリックな仙人、すっとぼけた顔に愛嬌があって憎めない賢人たち、するめイカ状となった手紙をくわえて微笑む狂女など、何とも型破りで自由奔放、強烈無類の彼らの個性に、「おおおおおっ」とのけ反ってしまう曾我蕭白(そが しょうはく 1730-1781)の絵。辻 惟雄(つじ のぶお)の名著『奇想の系譜』(ちくま学芸文庫)で紹介されていた白黒印刷の蕭白の絵の数々が、新潮社【とんぼの本】シリーズの本書では、さらに大きく、鮮やかなカラー図版として取り上げられていて、見ごたえがありました。

 わけてもインパクトが強く、魅力的な絵が、それぞれ見開き三頁にわたって掲載された【群仙図屏風】。右隻の左、呂洞賓(りょどうひん)と龍の辺りに描かれた台風みたいな渦巻き。左隻の左、美女の耳掃除にグフフと笑みを浮かべる蝦蟇(がま)仙人と、「勝手にしてけろ」呆れ顔の白ガマガエル。なんちゅうケッタイ、どこまで奇天烈、おもしろの絵やねんなあと、繰り返し眺めて飽きません。

◆第壱章「紺屋の息子、伊勢へ」・・・・京の染物屋に生まれたけれど、若くして父を亡くし、母を亡くし、絵筆たよりに旅の空
◆第弐章「奇ッ怪大作戦」・・・・神経逆なでの色彩、この世のものとも思えぬフォルム。「狂」の具現がここにある
◆第参章「瀟洒なテクニシャン」・・・・これがあの蕭白!? 無頼の絵師の意外な一面、こっそり教えます
◆第四章「通俗ばんざい!」・・・・名だたる賢者だって歌仙だって、一皮むけばみな同じ
◆第五章「濃密山水」・・・・まさに奇勝! 後期の画業に屹立する空前絶後の異空間
◆解説・横尾忠則「芸術の魔界に踏み込んだ画家」・・・・同じ“芸術という魔界の住人”ヨコオ氏が分析する、蕭白絵画に秘められた哲学