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生きつづける光琳―イメージと言説をはこぶ“乗り物”とその軌跡 (シリーズ近代美術のゆくえ)

価格: ¥4,212
カテゴリ: 単行本
ブランド: 吉川弘文館
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光琳の研究を知る上で良くまとめられた啓蒙書 ★★★★☆
光琳を中心とする「琳派」に関する美術展が開かれるようになり、アマチュアの美術愛好家にとっても「琳派」の概念を整理する必要があると感じており、そんな問題意識を持って探していた時、本書と出会いました。「シリーズ近代美術のゆくえ」は、美術史界において新しい考え方を持った著作が多く、本書もその意味で期待して読みました。

玉虫敏子氏は、東北大学大学院博士課程前期を修了し、その後静嘉堂文庫美術館学芸員を経て、現在は武蔵野美術大学造形学部教授に就いています。あとがきによると、本書は、筆者が博士(文学)の学位を授与された時の学位審査論文「『琳派』と日本の造形文化」の第1部「『琳派』概念の形成と諸問題‐尾形光琳の研究史を軸として‐」にあたるものです。

そのため、実に丹念に光琳についての研究を整理し提示しています。筆者は、琳派の酒井抱一も研究テーマにあげていることもあり、それとの対比も含めて触れています。もともと光琳は、元禄時代の装飾家として、またアーティストとしての評価が西洋では一般的でしたので、そのヨーロッパでの人気により、本国でも評価が高まったという記述は納得できました。その後、岡倉天心は「日本美術史」の中で、「光琳の一派」というジャンルを確立していますし、1903年には、東京帝室博物館において「光琳派」展という特別展覧会が開催された、とのこと。予てからの疑問の「琳派」という概念の普及については、162ページ以降に詳しく叙述されていました。